人間の脳は、静まり返った場所などでは、かえって集中できないことを知っているだろうか。
私は、集中するためには、静かな空間に越したことはないと思っていた。
しかし違うのだ。人間の脳は、沈黙を嫌がる。
「退屈じゃない?」と脳がささやくらしい。適度な刺激が無い状態は、辛い。
なにかいいアイデアを練らなければならないとき、質をあげるまでの数をまずは要する。数打ちゃ当たるというのは、必然的偶然らしい。
しかし困ったものだ。アイデアの質も数も、結局は脳内の様々な器官をフル稼働させてようやくコンテンツ化するものだから。集中できないのは、死活問題なのだ。
11月までに、36企業分のキャッチコピーを考えなければならない。現在20企画済み。残りの企業商品は、
中小企業向け信用金庫の販促、化粧品4社、Yahoo!、ジャパンレジストリー(「.jp」の生みの親)、クソのような美術館(私語厳禁なんて驕るのもいい加減にしろと言いたい。)、繊維、歯医者、IBMのフラッシュストレージ、プライバシーマークの啓蒙、ホーチキの住宅用火災警報装置、キャッシュレスについてなど…。
この世の問題、ここにあり。そんな状態に追い込まれている。
何としてもアイデア数をクリエイトしなければ話にならない。
名古屋でコピーの仕事を本職とするためには、実績が必要なのだ。
結果を残すためには、数を多く生み出すことが…否、質を高めるためには、数の問題から逃げてはいけないのだ。
しかし「静かな空間」の安全神話には、長年迷惑させられていた。
私は現在、作業用BGM(歌詞が入っていないもの)を流しながらようやく作業に集中できる。それでよかったのだ。